増田勝彦税理士事務所
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令和6年7月15日更新済み
インボイスに関する特集を組みました
1.(インボイス反対)インボイス導入は中小事業者及びその事務の委託を受けている税理士事務所の事務負担
を極度に増すものであり反対です。
事業者免税点制度の問題を放置したままでのインボイスの導入は反対です。
2.(対応1)ただし、予定通りに始まってしまったら反対もしていられないです。インボイス制度に対応するため
に、ここで確認をしておきます。
(当社がインボイス発行事業者でも導入後しばらくは面倒をかけないとうそぶく)
インボイス発行事業者に対するいわゆる飴は次のとおりです。ほとんどのものが数年間で無くなってしまう
ものばかりであり、これは強引にインボイス制度を導入するためだけに考えられたものであります。
①(少額特例)基準期間(2事業年度前)の課税売上高が1億円以下の事業者に限り、6年間は1万円未満の
課税仕入についてインボイスが不要になりました。これは免税事業者からの仕入も仕入税額控除が100%
できるということであります。7年目からはすべて必要になります。
②(8割・5割控除)免税事業者からの仕入も3年間は仕入税額控除が80%できる。その後の3年間は50%で
きる。7年目からは一切控除できません。
3.(対応2)免税事業者をインボイス制度に取り込むための飴は次のとおりです。
①(2割特例)制度開始から3年間に限り納税額を売上税額の2割にすることができるというものです。これは
卸売業、小売業の事業者にはメリットは無いですが、製造業、建設業、飲食業、サービス業、不動産業の事
業者にはメリットになります。ただし、3年間に限ること、それも基準期間(2事業年度前)の課税売上高が1千
万円を超えたら原則に戻りこの特例は使えなくなります。
4.その他知っておくべきことは次のとおりです。
①事業者であるあなたの販売先が一般消費者のみであるならばインボイスは発行する必要は無いのでインボ
イスの登録は不要です。
②課税事業者であるあなたの消費税の計算をする場合には、原則として仕入税額控除をするためにインボイ
スが必要でありますが、あなたが簡易課税を選択しているならば仕入先、外注先、経費支払先からのインボ
イスは不要です。なぜなら、簡易課税は課税売上高がわかり、第何種売上かがわかれば消費税額を算出で
きるからです。
★(インボイスとは)インボイスについて簡潔に説明します。
①商品を売ったり、仕事をしたときに当社はお金をもらいます。当社では売上になります。逆に相手側では仕入になったり、
外注加工費になったり、必要経費になります。ここでは相手側のことを考えてください。相手側はお金を支払ったのだから
領収書を書いてくれと当社に求めます。当社は領収書を書いて相手側に渡します。消費税が導入される前は、領収書に
記載された金額が仕入、外注加工費、必要経費になりました。
②消費税が導入されました。現在では10万円と消費税1万円を足して合計11万円の領収書を書いて相手側に渡します。
基本的に①の領収書と同じです。相手側は本体の10万円は仕入、外注加工費、必要経費とします。そして消費税1万円
は相手側が消費税の申告をして納付するときに仕入税額控除として納付する消費税から引き算します。今まではこれで
良かったのです。
③ではインボイス制度が導入されたらどうなるのかと言うと②で消費税の申告納付のときに自動的に仕入税額控除として
引き算できた消費税をインボイスという形式の領収書が無いと引き算させないと言い始めました。そのために盛んにイン
ボイスの番号を取れと言っているのです。
④この理屈からすると相手側が領収書をもらっても経費にする必要の無い人≒消費者ならば当社はインボイスを発行する
必要はありません。
⑤相手側が事業者の場合が問題です。相手側は仕入税額控除をするためにインボイスの形式の領収書が必要だと言っ
てきます。相手側が支払った消費税が当社を経由して国に納税されることを要件に仕入税額控除を認めると変更したの
です。ということは当社がインボイスを発行するためには当社が消費税の申告をして納付をすることが必要だと言うこと
になります。そもそも免税事業者は消費税の申告納付の必要が無いのでしていません。そこでインボイスを発行するた
めには免税事業者がわざわざ課税事業者になりますと届出を出して消費税の申告納付をしなければなりません。今まで
課税売上が1000万円以下の事業者は免税事業者として消費税の申告納付義務が無かったですが、このインボイス制
度導入により搦め手で消費税の課税事業者にならせようということです。